Chers mes amis
「人前で涙を見せたら絶対にいかん。そんな弱っちい男になるな!」
昔から男兄弟という競争の中で揉まれ、サッカーというスポーツの世界で揉まれ、受験戦争という競争で揉まれながら育ってきたせいか、
涙を流す=めそめそした女々しいやつ
というイメージが完全に定着してしまっている。ひょっとすると俺と同じように思ってる人は結構いるんじゃないかな?
他にも、
「歳を取ってくると急に涙もろくなる」
何てこともよく言われるよね。涙を流す=女々しいヤツという方程式は完全に間違った思い込みだけど、
この、歳を取ると涙もろくなるというのは本当だと思う。それだけ人生の酸いも甘いも経験してきて、それがあたかも自分が経験したかのように共感できる力がついてくるからだろうね。
コピーライターやってて、文章を書くにあたってよく人にインタビューとかさせてもらうのよ。
この商品を開発した理由は何ですか?とか、この商品は誰に使ってもらいたいですか?とか、どういった想いでこの商品を作ったんですか?とか、、、
そんなことばかりやってるせいか、異常なまでの高い共感力が身についてしまったよ・・・笑
つまり、弱っちい象徴の、泣き虫になってしまったってこと。。。苦笑
「この商品開発にはそんなストーリーがあるんですね。さぞ当時の生活環境は苦しかったでしょうね・・・(涙目)」
「そんな想いでこの商売やってるんですね。その想いの源はどこから生まれるんですか?・・・(涙目)」
「人からバカだ、アホだ、間抜けだと言われながらも、そんな逆境などものともせず信念を貫いてこられたんですね・・・(涙目)」
コピーライターじゃなくても、こうした対面でのコミュニケーションで言葉の”行間を読む”というスキルはとても大切な能力だと思う。
これは何もリアルの対面だけに限った話じゃなく、映画や漫画のような創作物を観ても同じようにフルに行間を読みまくる行為に走ってしまうんですわ。
実は最近、「奇跡のリンゴ 」という映画を見ました。
もう2、3年も前の映画だから、今更っ??とか言われそうだけどね。笑
何人かの人に見ろ見ろ、と勧められてようやく見たんだけど、まぁ終始泣きっぱなしだったわ。もう止まんねぇんだから仕方ないよね。笑
タイトルからもわかると思うけど、青森で奇跡と言われる無農薬でのりんごの栽培を成功させた木村秋則さんという方の実話を基にした映画。
木村さんやそのご家族の人生の”行間”を読みまくっちゃってさ、もう一人で涙腺崩壊して大変だった。(^ ^)
映画だから少し脚色されてると思うけど、
映画の中のワンシーンに、
木村さんが友人に、
「絶対に不可能な無農薬でのリンゴ栽培なんてもう辞めちまえ!!」と言われて、
「俺が諦めたら、人類が無農薬でのリンゴ栽培をあきらめることになってしまう!」
と言い放つシーンがあるんだよね。
そしてその後、木村家は町の人から徐々に村八分にされて、肩身の狭い想いを10年間も過ごすことに。青森のような小さなコミュニティーだと地元住民の繋がりって何よりも重要でしょ?それが断たれる辛さはいか程のものだったのか。しかも10年間も。。。
凡人のわたくしの想像のキャパを完全に超えてるわ。なぜそこまでやり切れるのか理由がわからない。。。軽いパニックだよ、パニック。思考停止状態。
その後お金が底を尽き、最終的には食べるものにも困ってしまう。
これ以上、家族に迷惑はかけられないと自殺を考える、、、
そんな時に、娘さんが言った一言。
「お父ちゃんがリンゴ作りを辞めたら、何のために私はこんなに貧乏してるの?絶対ヤダ!!わたしはお父ちゃんが作ったりんごが食べたい!!」
ここからだね、涙腺が崩壊したのは。もうね、思い出してもシビれるよ。このシーンは。りんご農家を10年もやってるのに、木村さんは一度もりんごを栽培したことがないんだよ。
農薬を使えば他の農家と同じようにりんごを栽培することはできた。でも、それを一度もしなかった。
10年という歳月はあまりにも長すぎた。今更農薬を使ってりんごを栽培しても、再びりんごを栽培できるまでにさらに何年もかかる。無農薬栽培を続けるも地獄。辞めるも地獄。そんな状況。
無農薬のりんご栽培という不可能な夢を諦めることが、家族にとって幸せなのではないか?
このままりんご栽培を続けていくとますます家族を不幸にするのではないか?
そう木村さんは思ってたけど、実は家族は違った。
木村さんの心情だけでなく、周りの家族の心情も思うとさらにグッとくる。
たぶんここだろうね、行間を読むことの真骨頂って。
その後この言葉に触発され、再び無農薬のりんご栽培に取り掛かり、最終的にりんごの無農薬栽培に人類史上初めて成功することになるんだけど、
正直に言って、俺は農業の実体何て一切知らないし、サラリーマンの家の子供だし、家族の中に農業を営む者もいない。
だけど、この木村さんの、
「奥さんのために、人々のために安全なリンゴを届けたい!!」
その一途な気持ちにとてつもなく心が震えるんだよね。しかも先が見えない中での10年間という歳月。10年って、決して短くないでしょ?
起業家という人たちが皆持つ「世の中の人の役に立ちたい!」という気持ちと何ら変わることはない。でも、生半可なポッと出の起業家の想いとは次元が違うよね。
多くの業種の起業家には成功した先人がたくさんいる。
たとえ、5年で新規ビジネスの90%以上が無くなるという統計があろうとも、現に起業家として成功している人はいっぱいいる。
でも、木村さんには先人が誰一人としていない。
水先案内人という希望の光が何一つない。
木村さんがやり遂げたことは、人類には無理だと言われたことだから。
それを考えれば今の俺の環境がいかに恵まれているかを痛感せずにはいられないよ。今の仕事は雨も嵐も雪も春も夏も秋も冬も関係ない。
頭とパソコンさえあれば、夏はクーラー、冬は暖房の効いた家の中でできる。
あらためて、この映画から
本物の起業家とはどういう人か?について考えさせられたよ。
お金がなくても、
パソコンがなくても、
友人を失うことになっても、
何もかも失っても、
やるべきことをやり通す。
この映画を観て、
そんな起業家になるという決意と覚悟を新たにしたね。
映画の最後で、
木村さんが奥さんの美栄子さんに言ったコトバ。
「ひとつのことに狂えば、必ず答えは見つかる」
はい、了解です!(^ ^)/
とりあえずこの先10年間、一つのことに狂ってみます!笑
周りに迷惑かけてまでも、諦めず自分の夢だけを追いかけ続けることが全て良いことだとは言わない。その人、その人によって時代や環境や境遇が違うワケだからね。
うん、こればっかりは何とも言いきれない部分があるのは確か。
どう?あなたはこの映画を観てどう思った?
は?まだ観てないって?頼むわ、しっかりしてくれよ!
とりあえず、今すぐツタヤに行って借りてきて、忙しない手を止めて、腰を落ち着かせて、ポテチ片手にじっくり観てみて!笑
人知れず戦う人間の凄みを体感できるからさ。
秋になったら早速木村さんちのりんごを注文してみようかね。
これから秋が楽しみだよ、まったく。(^ ^)