Dear NIPPON

横浜ではたらくマイクロ法人社長のつぶやき

「常識人」の落とし穴にハマりました・・・

From:のむらよしのり 横浜駅前のスタバより、、、

(なんでこいつ止まってんだ!?さっさと歩けよ!怒)

ついさっきのこと。場所は横浜駅地下鉄みなとみらい線。時間はちょうど通勤帰りで混み始めている時間帯の18時半。地下鉄から相鉄線に乗り換えようとエスカレーターを歩いて登っていた時のこと。

50代ぐらいの一人の男性がエスカレーターの右側に立っていて、歩いて登れなかった時に、つい「イラっ」としてしまった瞬間だ。

(ったく、エスカレーターの右は開けるのが常識だろ!怒)

そう思いながら、仕方なしにそのまま男性の後ろに並んでエスカレーターを登ることに。

エスカレーターを上り終え、イライラも少し静まったところで、ふと我に返る。

(そういえば、エスカレーターって、関東では左側に立って右側を空けて、関西では右側に立って左側を空けるよな。もしかしたら、あの男性の人、関西出身なのかも...)

そう思った瞬間、さっきまでのイライラはどこかに消え、そもそも「常識」って何だろう?と、冷静に物事を考えるキッカケとなった。

俺にとっての常識。彼にとっての常識。

その時ふと、昔、高野山で僧侶の見習いをしている頃、よくお寺の住職がこんな説法を説いていたのを思い出した。

「常識だと思っていることを、反対から見てみることが大切です。正しいと思っていることが、とんでもない間違いだってこともあります。強い者の立場からだけではなく、弱い立場の者の視点を持つと心が穏やかになりますよ」

なるほど。

早まったらいかん!一旦落ち着け!立場を変えて物事を考えてみろ!

要は、そういうことか。

たぐり寄せた淡い過去の記憶が、時を超えて現代の自分の心にズバッとつき刺さる。

今回の一件に限らず、俺らの日常会話において、

「こんなの常識じゃん!」
「お前は常識知らずだな!」
「まったく非常識なんだから!」
「常識的に考えればわかるだろ!」

みたいな言葉って普通に飛び交ってるよね。

でも、自分では当然常識だと思い込んでいたのに、その常識が通用しなかったという経験はよくある話。

例えば、個人の働き方とかね。

同じ仕事をしているのに、正社員か派遣社員かの差によって収入が変わるような日本の社会制度は、世界では非常識だったり。

他にも、日本人は蕎麦やラーメンを食べるときズルズルと音を出してすするけど、海外では行儀が悪いとされていたり。

日本のタクシーは自動でドアが開くけど、海外のタクシーは手動だったり。

日本では人を呼び寄せるジェスチャーとして、手のひらを下にして上から下に手を振るけど、海外では、手のひらを上にして、下から上に手を振ったり。もし海外で、日本式のジェスチャーを相手に見せると、逆に「あっち行け」のサインになってしまう。

日本の常識は、実は世界の非常識だった、なんてことはザラにある。

また、時代が変われば、常識も変わることだってある。

昔はノーヘルでもバイクに乗れたし、シートベルトも義務化されていなかった。

昭和時代における男性の喫煙率は83.7%で、当時はバス、電車、新幹線、飛行機の中でもタバコを吸うことができた。今では信じられんよな。

もちろん人生には、変えてはいけない「常識」や「価値観」というものがあるのも事実。

「親を敬う」「人を思いやる」「人の陰口を言わない」「誠実に生きる」などは、太古の昔から未来永劫変わることはないよね。

とはいえ、そういった道徳的な常識の数はしれてる。

そう思うと、「常識」というものは、時と場合によって「非常識」になったり、刻一刻と変化していくものであり、時代も国も問わず、「絶対的な常識」というものは、ほとんどないとも言えるのかもね。

一番恐ろしいのは、常識=善(正義)、非常識=悪とか、常識=正解、非常識=不正解などと決めつけてしまうことだ。今回、俺がエスカレーターで感じた、常識という名の間違った正義の怒りみたいに。

人は社会に出たら最後。

起きている時間のほとんどを仕事と家事に費やす生活になる。自分の価値観や常識を改めて見直す時間はほとんど取れなくなってしまうよね。

でも、もう俺らは、自立した一人の立派な大人であり、どんな常識や価値観を持つかは、すべて一人一人に委ねられている。

ちなみに、あなたはどんな「常識」がある?その中で、役立つもの。反対に、役立たないものって何かある?

一度、自分の「常識」だと、思い込んでいることを棚卸してみる。そして、それを疑ってみる。よーく考えてみると、実は非常識だった!なんてことが出てくるかもよ?

最後にもう一度、高野山の住職の言葉を。

「常識だと思っていることを、反対から見てみることが大切です。正しいと思っていることが、とんでもない間違いだってこともあります。強い者の立場からだけではなく、弱い立場の者の視点を持つと心が穏やかになりますよ」

今のような混沌とした時代にこそ、この言葉の意味を改めてじっくり自分自身に問いかけたいところだよね。

 

ps.
この常識も疑え!現役通関士からの警告。

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